【世界一わかりやすい】DOGSO(決定的な得点の機会の阻止)とは?4条件・SPAとの違いを徹底解説

公開日: 2026年3月16日

サッカーの試合を観ていると、「DOGSO(ドグソ)」という言葉を耳にすることがあります。解説者が「これはDOGSOですね」と言ったり、SNSで「DOGSOじゃないの?」と議論になったりする場面も多いのではないでしょうか。

DOGSOとは、サッカー競技規則における重要な概念で、「決定的な得点の機会の阻止」を意味します。正しく理解すれば、試合中のジャッジの意味がわかるようになり、サッカー観戦がもっと面白くなります。

この記事では、DOGSOの意味・4つの判定条件・SPA(大きなチャンスの阻止)との違い・ペナルティーエリア内での特別ルールまで、できるだけわかりやすく解説していきます。

1. DOGSOとは何か?

DOGSOは「Denying an Obvious Goal-Scoring Opportunity」の頭文字を取った略語です。日本語では「決定的な得点の機会の阻止」と訳されます。

簡単に言えば、相手チームが「ほぼ確実に得点できた」場面を、ファウルやハンドによって阻止する反則のことです。

サッカー競技規則(Laws of the Game)の第12条「ファウルと不正行為」に定められており、DOGSOと判定された場合、反則を犯した選手には原則としてレッドカード(退場)が提示されます。

DOGSOの処分(原則)

DOGSOと判定 → レッドカード(退場) + フリーキックまたはペナルティーキック

サッカーにおいて退場処分は非常に重い罰則です。10人で残りの試合を戦わなければならないだけでなく、その後の出場停止処分もあります。だからこそ、DOGSOの判定基準を正しく理解することは、選手・審判・サッカーファンのいずれにとっても大切です。

2. DOGSOの4条件

DOGSOかどうかを判定するために、審判員は以下の4つの条件をすべて考慮します。この4条件は競技規則に明記されています。

DOGSOの4条件

  1. プレーの方向 ― 全体的なプレーの方向がゴールに向かっている
  2. ボールの位置 ― ボールをプレーできる、またはプレーできる可能性がある
  3. 守備側競技者の位置 ― 反則の地点とゴールの間に守備側競技者がいない(GKを除く)
  4. ゴールとの距離 ― ゴールに十分近い位置である

それぞれの条件を詳しく見ていきましょう。

条件1: プレーの方向

攻撃側の選手がゴールに向かってプレーしているかどうかを見ます。たとえば、ゴールに背を向けてボールをキープしている状態であれば、得点の機会が「明らか」とは言いにくくなります。全体的なプレーの流れがゴール方向に向かっていることが必要です。

条件2: ボールの位置

攻撃側の選手がボールをコントロールできている、または近い将来ボールに触れることができる状態かどうかです。ボールが遠くにあったり、すでに他の選手に渡っている場合は、この条件を満たしません。

条件3: 守備側競技者の位置

ファウルが起きた地点とゴールの間に、守備側の選手(ゴールキーパーを除く)がカバーに入っていないことが条件です。カバーリングのディフェンダーがいれば、「決定的」とは言えない可能性があります。

条件4: ゴールとの距離

シュートを打てる距離にあるかどうかです。ハーフウェーライン付近でのファウルでは、得点の機会が「明らか」とは判断されにくいでしょう。ゴールに近いほどDOGSOと判定される可能性が高くなります。

ポイント

4条件は「すべてを考慮する」ものです。1つでも明らかに欠けていれば、DOGSOではなくSPA(後述)と判断されることが多くなります。

3. DOGSOとSPA(大きなチャンスの阻止)の違い

DOGSOと混同されやすい概念にSPAがあります。SPAとは「Stopping a Promising Attack」の略で、日本語では「大きなチャンスとなる攻撃の阻止」と訳されます。

DOGSOが「決定的な得点機会」を阻止するのに対し、SPAは「得点につながる可能性のある攻撃」を阻止する行為です。つまり、得点の確実性が異なります。

DOGSO SPA
正式名称 Denying an Obvious Goal-Scoring Opportunity Stopping a Promising Attack
日本語 決定的な得点の機会の阻止 大きなチャンスとなる攻撃の阻止
処分 レッドカード(退場) イエローカード(警告)
得点の確実性 非常に高い(明らかな得点機会) ある程度高い(有望な攻撃)
4条件 すべて満たす 一部欠ける

DOGSOかSPAか ― 判断の分かれ目

実際の試合では、DOGSOとSPAの境界線を見極めるのが非常に難しいケースがあります。判断のポイントは次の通りです。

  • カバーリングのDFがいる場合 → 4条件のうち「守備側競技者の位置」を満たさないため、SPAになりやすい
  • ゴールまでの距離が遠い場合 → 「ゴールとの距離」の条件を満たさず、SPAと判断される可能性
  • ボールが離れている場合 → 「ボールの位置」の条件が弱くなり、DOGSO判定が見送られることも

審判員は、これらの条件を瞬時に総合的に判断しなければならず、サッカーの審判業務の中でも最も難しい判定のひとつです。

4. ペナルティーエリア内でのDOGSO ― 「トリプルパニッシュメント」の緩和

DOGSOがペナルティーエリア内で起きた場合、以前は「トリプルパニッシュメント(3重罰)」と呼ばれる非常に厳しい処分が科されていました。

旧ルールでの3重罰

  1. ペナルティーキック(PK)を与える
  2. ファウルした選手にレッドカード(退場)
  3. その後の試合を10人で戦う

しかし、2016年の競技規則改正により、ペナルティーエリア内でのDOGSOに関するルールが緩和されました。

現行ルール(2016年改正以降)

ペナルティーエリア内でDOGSOとなるファウルが発生した場合、ファウルを犯した選手が「ボールに向かってプレーした」(正当にボールを奪おうとした)かどうかで処分が変わります。

ペナルティーエリア内でのDOGSO判定

  • ボールに向かってプレーした場合 → PK + イエローカード(警告)に軽減
  • ボールに向かっていない場合 → PK + レッドカード(退場)

つまり、守備側の選手がボールを正当に奪おうとして結果的にファウルになった場合は、退場ではなく警告で済むようになりました。この改正は、サッカーをより公平でエキサイティングなものにするために導入されました。

「ボールに向かってプレーした」とは?

ここでいう「ボールに向かってプレーした」とは、選手がボールを奪う意図を持って正当なチャレンジをしたことを意味します。以下のような場合は「ボールに向かっていない」と判断されます。

  • 相手の体を掴む・引っ張る(ホールディング)
  • ボールに関係なく相手を押す・倒す
  • 背後から相手の足を引っかける(ボールに触れる意思がない)

5. ハンドによるDOGSO

DOGSOはファウルだけでなく、ハンド(ハンドリング)によっても成立します。

たとえば、ゴールに向かうシュートをフィールドプレーヤーが手で止めた場合、これはハンドによるDOGSOとなり、レッドカードが提示されます。

ハンドによるDOGSOの処分

ハンドでDOGSOを犯した場合 → 場所に関係なく常にレッドカード(退場)

※ペナルティーエリア内の「ボールに向かってプレーした」による軽減は適用されません

ペナルティーエリア内のファウルによるDOGSOでは警告に軽減される場合がありますが、ハンドの場合はこの軽減措置が適用されません。ハンドは「ボールに向かってプレーした」正当なチャレンジとは見なされないためです。

6. 具体的なシーンで理解するDOGSO

DOGSOの理解を深めるために、いくつかの典型的なシーンを見てみましょう。

シーン1: GKと1対1でのファウル(DOGSO)

攻撃側の選手がドリブルでディフェンスラインを突破し、GKと1対1の状況。最後尾のDFが背後から引っ張って倒した。

判定: DOGSO → レッドカード + FK

4条件すべてを満たし、ボールに向かっていないファウル。ペナルティーエリア外のため、直接フリーキック+退場。

シーン2: PA内でのスライディング(DOGSOだが警告に軽減)

攻撃側の選手がペナルティーエリア内でGKと1対1。DFがスライディングタックルでボールを奪おうとしたが、結果的に選手の足に接触してファウル。

判定: DOGSO → PK + イエローカード

4条件を満たすDOGSOだが、ペナルティーエリア内で「ボールに向かってプレーした」ため、退場ではなく警告に軽減。

シーン3: カバーリングDFがいる場合(SPA)

攻撃側の選手がペナルティーエリアに向かってドリブル中、DFにファウルで倒された。ただし、もう1人のDFがカバーリングポジションにいた。

判定: SPA → イエローカード + FK

カバーリングのDFが存在するため、4条件の「守備側競技者の位置」を満たさない。DOGSOではなくSPAとなり、警告。

シーン4: ハンドでゴールを防ぐ(DOGSO)

ゴールライン上で、フィールドプレーヤーが手を使ってシュートを止めた。

判定: DOGSO → PK + レッドカード

ハンドによるDOGSOは、ペナルティーエリア内であっても常にレッドカード。ボールに向かってプレーしたという軽減は適用されない。

7. まとめ ― DOGSOを正しく理解しよう

DOGSOについて、改めてポイントを整理します。

  • DOGSOは「Denying an Obvious Goal-Scoring Opportunity」=「決定的な得点の機会の阻止」
  • 判定には4つの条件(プレーの方向・ボールの位置・守備側競技者の位置・ゴールとの距離)をすべて考慮する
  • DOGSOは原則レッドカード(退場)
  • 4条件の一部が欠ける場合はSPA(イエローカード)になることが多い
  • ペナルティーエリア内で「ボールに向かってプレーした」ファウルの場合はイエローカードに軽減される
  • ハンドによるDOGSOは、場所に関係なく常にレッドカード

DOGSOの判定はサッカーの試合を大きく左右する重要な場面です。4条件を覚えておけば、試合を観るときに「なぜ退場になったのか」「なぜイエローで済んだのか」が理解できるようになります。

サッカー観戦や審判活動の際に、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

ジャッジDB

実際の試合映像を見ながら、DOGSO・VAR介入・PK判定など現場のジャッジを競技規則に基づいて解説しています。

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