会社員審判のための心拍トレーニング超入門

公開日: 2025年8月19日

「試合の後半でバテてしまう」「ダッシュのあとに息が整わない」。忙しい毎日を送りながら週末に審判を務めていると、体力面の課題を感じることがあります。

私自身、走る習慣はありましたが、ペース任せで効率が良いとは言えませんでした。そこで、審判の動きに合う方法を調べ、実際に取り入れてみた内容をまとめました。

ポイントは心拍数です。心拍トレーニングは運動の強度を見える化し、限られた時間でも体力を底上げしやすくします。この記事では、週末の試合にすぐ活かせる基本を紹介します。

審判のための心拍トレーニングとは?

心拍トレーニングは、心拍数(1分間の拍動数)を目安に運動強度を管理する方法です。審判の動きは一定ペースの走りに加えて、状況に応じたダッシュが混ざるのが特徴。強度を段階的に管理できる心拍ベースの考え方は相性が良いです。

準備するもの

Apple Watchなどのスマートウォッチで十分です。精度を高めたい場合は、胸ストラップ式の心拍計も選択肢になります。

最大心拍数(HRmax)の目安

まずは簡易式の「220 − 年齢」でOK。(例:40歳 → 最大心拍数は約180bpm)

心拍数5ゾーンの目安(“しゃべれる度”で覚える)

最大心拍数を基準に、運動強度を5段階で考えます。例として、HRmax=180bpm(40歳)の場合:

  • ゾーン1(とても楽):50–60% → 90–108bpm。会話は余裕。
  • ゾーン2(楽〜やや楽):60–70% → 108–126bpm。短文なら話せる。体力の土台づくりの主役。
  • ゾーン3(ややきつい):70–80% → 126–144bpm。返事が単語になる。粘りを養う。
  • ゾーン4(かなりきつい):80–90% → 144–162bpm。会話は難しい。試合の強度に近い。
  • ゾーン5(限界近い):90–100% → 162–180bpm。短時間のみ維持可能。

審判が取り入れるべき心拍トレーニングメニュー

ベース走(目標:ゾーン2)

「少し息が弾むが会話はできる」強度で30〜50分。体力の貯金を作る最重要メニューです。

テンポ走(目標:ゾーン3後半〜4前半)

「きついがフォームは保てる」強度で10〜15分を2本。間に3分の軽いジョグを挟みます。

60–30インターバル(審判向け・目標:ゾーン4)

60秒はゾーン4で走り、30秒は歩くか軽いジョグで回復。10〜14本。コーナーやサイドへの移動、後方走を混ぜると実戦的です。

短距離ダッシュ(目標:ゾーン5)

20〜30mの全力ダッシュを8〜10本。回復はスタート地点まで歩いて戻る時間で十分。ゾーン5の合計時間は週6〜12分以内を目安に。

週の組み立て方(会社員×週末審判の例)

おおまかな配分例:

  • ゾーン2:合計120–180分/週
  • ゾーン3:20–40分/週
  • ゾーン4–5:15–30分/週

【週3回の場合(40歳・HRmax 180bpmの例)】

  • 火曜:40分 ベース走(108–126bpm)
  • 木曜:テンポ走 12分×2本(135–153bpm)
  • 土曜:60–30インターバル×12本(144–162bpm)+ 20mダッシュ×8本

試合週の調整と回復のコツ

  • 3日前:短めのテンポ走 or 60–30を本数少なめで刺激入れ。
  • 前日:15〜20分の非常に軽いジョグ、もしくは完全休養。
  • 翌日:20〜30分の回復ジョグ(ゾーン1〜2前半)で血流を促す。

運動後に停止して1分後、心拍数が20bpm以上下がっていれば回復は順調です。

現場で役立つ4つの実践ポイント

  1. 心拍は動きに遅れて上がる。短いダッシュは時間と体感も併用して管理する。
  2. 暑熱環境では心拍が高く出る。目標を5〜10bpm下げて調整する。
  3. 朝の安静時心拍が普段より5〜7bpm高い日は疲労のサイン。強度を落とす。
  4. 完璧を求めず、まずはゾーン別の合計時間を記録する。続けることが最優先。

「175bpmキープ」練習の位置づけ

HRmaxが180bpmの人にとって175bpmは約97%(ほぼゾーン5)。長時間の維持は非現実的です。取り入れる場合でも週1回、4〜6分を1〜2本が限度。まずはゾーン4(例:144–162bpm)で6〜12分を安定させる方が効果的です。

まとめ

心拍数という客観的な指標を持つと、トレーニングの質は確実に上がります。週末のピッチで安定して動けるよう、今日から少しずつ取り入れてみてください。

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