一旦ここらでVAR運用の誤解を解きたい
公開日: 2026年5月25日
最近、SNSなどを見ていると、VARに関して誤った情報や認識が広がっているのを目にすることがあります。
もちろん、判定に対して様々な意見が出ること自体は自然なことだと思います。むしろ、サッカーという競技の人気を改めて感じる機会にもなります。
しかし、VARの運用について誤った理解のまま語られることで、正しい手順に則って対応している主審や審判員が、必要以上に批判や非難の的になっている場面を見ると、少し歯がゆい気持ちになります。
そこで今回は、VARの運用について、誤解されやすい3つのポイントを改めて整理しておきたいと思います。
この記事の内容
1. 現場の審判団は、必ず判定している
まず大前提として、現場の審判団は、目の前で起きた事象に対して必ず判定しています。
ここはとても大事です。
「分からないから保留」
「後でVARに映像をチェックしてもらえばいい」
そんなことはしていません。
これは断じて言えます。
VARがいる試合であっても、まず現場にいる主審、副審、第4の審判員を含めた審判団が、自分たちの目で見て、自分たちの中で判定を持っています。
これは、Jリーグを担当している審判員だけの話ではありません。
僕たちのようなアマチュア審判員も同じです。
4級審判員であっても、3級、2級、1級、そしてプロフェッショナルレフェリーであっても、全員に共通しているのは、まず目の前で起きたことをしっかり見て、自分で判定するということです。
Jリーグだから。VARがあるから。映像で確認できるから。
だから現場で判定しなくていい、ということは一切ありません。
どのカテゴリーでも、まず審判員達が自分で判断/判定する。
ここは改めて認識しておきたいポイントです。
2. 主審から自由に「ビデオチェックしたい」とは言えない
次に大事なのが、主審が自分から自由に「ビデオを見たいです」と言えるわけではない、という点です。
VARは、主審が好きなタイミングで使える便利な確認ツールではありません。
「ちょっと自信がないから映像を見たい」
「念のため映像を確認したい」
このような感覚で、主審が自由にビデオチェックを要求するものではありません。
VARは、現場の審判団が下した判定内容やその理由と、実際の映像を照らし合わせたうえで、「はっきりとした、明白な間違い」があるかどうかを確認します。
その結果、VARが「これは明白な間違いの可能性がある」と判断した場合に限り、主審に対してレビューを勧めることができます。
いわゆる、レコメンドです。
ビデオチェック、いわゆるOFR(オンフィールドレビュー)は、
「主審が見たいと言えばいつでも見られるもの」ではありません。
VARから主審に対して、レビューを勧めるだけの根拠がある場合に、映像確認へ進むという運用です。
3. VARは常に映像をチェックしている
ここも非常に誤解されやすいところです。
VARは、得点シーンや退場になりそうな場面だけ、急に映像を見始めているわけではありません。
VARは、試合中、常に映像をチェックしています。
よく、スタジアムやDAZNなどの中継で「PK確認中」のような表示が出ることがあります。
そのため、「表示が出たときだけVARが映像を見ている」と思ってしまう方もいるかもしれません。
しかし、それは正しい理解ではありません。
表示が出る、出ないにかかわらず、VARは常に映像をチェックしています。
したがって、
「今回はVARがチェックしていなかった」
「VAR確認中と出なかったから、VARは見ていない」
という見方は、VAR運用の理解としては正しくありません。
VARは常に見ています。
そのうえで、主審の判定に明白な間違いがあるかどうか、または見逃された重大な事象があるかどうかを確認しています。
この点は、改めて整理しておきたいところです。
4. 「ビデオレフェリー」ではなく「ビデオアシスタントレフェリー」である意味
ここで改めて大事にしたいのが、VARという名称です。
VARは、Video Assistant Referee(ビデオアシスタントレフェリー)です。
「ビデオレフェリー」ではないんです。
映像を見て、主審の代わりに判定する存在ではありません。
第一前提は、現場にいる審判団が判定することです。
これは先ほども書いた通り、4級審判員から1級審判員、プロフェッショナルレフェリーまで、すべての審判員に共通することだと思っています。
そのうえで、VARはその判定に対して、映像を使ってアシストする役割です。
アシストされたものを、最終的に、主審が判断する。
審判員は、自分の目で事象を見て、根拠を持って判定しています。
その姿勢は、僕たちアマチュア審判員が普段の試合でやっていることとも共通しています。
そして、それはJ1の舞台であっても同じです。
審判団の判定に対して、VARがアシストする。
この関係性を忘れてはいけないと思います。
5. まとめ
今回は、VARの運用について整理しました。
特に押さえておきたいのは、次の3つです。
今回のまとめポイント
- 現場の審判団は、VARがある試合でも必ず自分たちの目で見て判定している
- 主審が自由に「ビデオチェックしたい」と言えるわけではない
- VARは表示が出ているときだけではなく、常に映像をチェックしている
VARは、主審の代わりに判定するものではありません。
あくまで、現場の審判団が下した判定に対して、映像を使ってアシストする役割です。
だからこそ、どれだけテクノロジーが入っても、どのカテゴリーの試合であっても、まずは審判員が自分で判断すること。
そして、その判断に対してVARが必要に応じてサポートすること。
この前提は変わりません。
VARという仕組みを語るうえで、ここは一度しっかり整理しておきたい部分だと思い、今回記事をまとめてみました。
VARの目的や運用のイメージが、少しでも多くの方に伝われば嬉しい限りです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。